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Pマーク取得5つのメリットと必要なセキュリティ対策を解説

作成者: 成田 大輝|Aug 12, 2026, 6:59:23 AM

Pマーク(プライバシーマーク)取得の最大のメリットは、個人情報を適切に扱う体制が整っていると第三者機関に証明してもらえることです。Pマーク取得を考えるとき気になるのは、得られる効果と、その効果のために実際に何をすればよいのか、という点ではないでしょうか。取得で得られるメリットは5つあり、そのどれもが、物理・技術・組織にわたるセキュリティ対策があって初めて生まれます。メリットと対策のつながり、さらに費用や期間、ISMSとの違いまで踏まえれば、取得を判断する材料がそろいます。

この記事では、Pマーク取得で得られる5つのメリットと、それを支えるセキュリティ対策を中心に、費用や期間、ISMSとの違いまで解説します。Pマーク取得を検討している業務担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

Pマークとは

Pマークは、個人情報を適切に取り扱う体制を備えた事業者であることを示す、国の規格に基づいた第三者認証です。よりどころとなる規格はJIS Q 15001で、2023年9月の改正版が、現在の審査基準のベースになっています。審査をおこなうのはJIPDECとその指定審査機関で、付与の有効期間は2年です。つまり、ロゴを掲げている企業は、外部の審査を通過し、個人情報保護のしくみを継続して運用していることになります (※1)。

制度の広がりも、取得を後押ししています。Pマークの付与事業者数は2026年3月末時点で1万7,788事業者にのぼり、制度が始まって以降、おおむね増え続けてきました(※2)。取引や採用の場面で「Pマークをお持ちですか」と当たり前のように尋ねられる土壌が、この数字の背景にあるのです。

※1 参考:JIPDEC│プライバシーマークとは
※2 参考:JIPDEC│プライバシーマーク付与事業者情報(2026年3月31日時点)

Pマーク取得で得られる5つのメリット

取得のメリットは、顧客や取引先からの信頼から、社内の体制強化まで多岐にわたります。これから挙げる5つの項目は、いずれもPマークを掲げられること自体ではなく、その先にある実利に関わるものです。ここから、5つのメリットについて詳しくお伝えしてまいります。

消費者や顧客からの信頼を獲得できる

1つめのメリットは、個人情報を任せても大丈夫だという安心感を、相手にひと目で伝えられることです。JIPDECの消費者調査では、回答した方の78%が「Pマーク取得企業は信頼できる」と答えており、信頼は感覚の問題ではなく、データで裏づけられた効果だとわかります (※1)。名刺やWebサイトにロゴを示すだけで、長い説明をしなくても保護への姿勢が伝わりますので、商談や問い合わせ対応の場面で、確かな説得材料になります。

この信頼は、消費者向けのビジネスだけでなく、企業間の取引でも働きます。個人情報の取り扱いを外部に委託する企業にとって、委託先がPマークを持っているかどうかは、大切な安心材料の一つになるからです。

入札参加や新規取引の条件を満たせる

2つめに、Pマークが取引や入札の参加条件になっている案件を、取りこぼさずに済みます。官公庁や自治体などの入札公告のうち「プライバシーマーク」の文言を含む件数は、2021年度の約7,200件から2024年度の約9,200件へと、おおよそ25%増えました (※1)。条件を満たせなければ、その時点で土俵に上がれない案件が、現実に存在しているのです。

裏を返せば、取得は機会損失を防ぐ手立てでもあります。付与事業者を対象とした調査では、取引先の要求や入札要件への対応を目的に取得・維持した事業者の84%が、実際に「対応できている」と回答しました (※)。営業活動の前提条件として整えておく価値は、けっして小さくありません。

個人情報の漏えいリスクを下げられる

3つめのメリットは、取得の過程で、漏えいそのものを起こしにくい体制が築かれることです。Pマークは、書類をそろえれば取れる認証ではありません。規格に沿った管理ルールを定め、運用し続けることを求められますので、その積み重ねが事故の予防につながっていきます。実際に、事故防止や被害軽減を目的として取得・維持した事業者の78%が「事故等の防止・被害軽減につながっている」と答えています (※1)。

漏えいは、一度起きてしまうと、信頼の失墜や損害賠償、対応コストといった形で重くのしかかります。取得を「守りの投資」として捉えると、その意義がつかみやすくなるのではないでしょうか。

従業員の意識が高まり社内体制が強くなる

4つめに、ルールと教育が定着することで、現場の一人ひとりの意識が底上げされていきます。Pマークの運用では、全従業者への教育や内部監査を定期的に回す必要があり、個人情報の扱いが、属人的な慣習から組織のルールへと置き換わっていきます。従業員の意識向上を目的に取得・維持した事業者では、90%が「従業者の個人情報保護意識が向上している」と回答しました (※1)。

この効果は、担当者が代わっても保護の水準が保たれる土台になります。ガバナンスの強化という、数字には表れにくい価値も、ここに含まれているのです。

個人情報保護法への対応が前に進む

5つめのメリットとして、法令への対応の足場が、自然と整っていく点が挙げられます。個人情報保護法には3年ごとの見直しが組み込まれており、企業には継続的な対応が求められます (※2)。Pマークの規格であるJIS Q 15001は、こうした法の要請をふまえて作られていますので、規格に沿った運用を続けること自体が、法対応の実務と重なる部分が多いのです。現に2023年9月の改正版(JIS Q 15001:2023)は、令和2年・令和3年に改正された個人情報保護法に整合させる形で見直され、仮名加工情報や個人関連情報への対応などが盛り込まれました。規格に沿って運用していれば、こうした法改正への対応も自然と取り込まれていきます。

ゼロから法令を読み解いて体制を作るよりも、認証の枠組みに乗せていくほうが、見通しを立てやすくなります。法改正のたびに慌てて対応する状態から、一歩抜け出すきっかけになるでしょう。

※1 参考:JIPDEC│「プライバシーマーク取得のメリット(デジタル社会における消費者意識調査2025、2024年度付与事業者へのアンケート結果)」
※2 参考:個人情報保護委員会│個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて

取得前に知っておきたい注意点

Pマーク取得にはメリットがある反面、注意すべき点も存在します。
まず、取得と維持には、相応の工数とコストがかかります。文書づくりや教育、内部監査は通常業務と並行して進めることになりますので、担当する方の負荷は軽いとは言えません。また、認証は取って終わりではなく、2年ごとの更新審査を受け続ける必要があります(※1)。

もう一つの注意点は、どの事業者でも取得できるわけではない、という点です。日本国内に活動拠点を持たない外国法人などは申請資格を満たさず、JIPDECが定める欠格事項に該当する場合も取得できません。

また、申請にあたっては、社会保険・労働保険に加入した正社員、または登記上の役員(監査役を除く)が2名以上必要とされています。これは、個人情報保護管理者と個人情報保護監査責任者を別々に置く必要があるためで、ごく小規模な事業者では、この人数要件がハードルになることがあります。

あわせて押さえておきたいのが、プライバシーマークの付与は法人単位で行われる点です。特定の部門や事業所だけを対象に取得することはできず、原則として法人全体が審査・付与の対象になります。

自社が要件を満たすかどうかは、検討の初期に確認しておくと安心です(※2)。なお、審査員によって運用上の指摘の細かさに幅が出ることもあり、想定より調整に時間がかかる場面もあります。
Pマーク取得に際しては、お伝えした注意点についても把握しておくことが重要です。

※1 参考:JIPDEC│制度の概要|プライバシーマークとは
※2 参考:JIPDEC│「申請資格」. プライバシーマーク制度

Pマークのメリットを生み出すために必要なセキュリティ対策

お伝えしてきたPマークのメリットは、いずれも具体的なセキュリティ対策があって、はじめて成り立つものです。信頼も漏えい防止も、対策を整えて運用した結果として生まれる効果だからといえます。Pマークが求める安全管理は、大きく分けて、物理・技術・組織と人の3つの方向にまたがります。物理面はモノと場所、技術面はデータと通信、組織と人の面はルールと運用が、それぞれの中心になります。

物理的対策で保管と持ち出しを守る

物理的対策とは、個人情報が記録された書類や機器を、盗難や紛失、のぞき見から守る取り組みのことです。個人情報保護委員会のガイドラインでは、物理的安全管理措置として、取扱区域の管理、機器や電子媒体の盗難防止、持ち出し時の保護、削除と廃棄の手順が示されています(※1)。

実務に落とし込むと、入退室の記録やパーティションによる画面の遮へい、ノートパソコンのワイヤー固定、書類や媒体の施錠保管などが当てはまります。持ち出す際にはデータを暗号化し、紙の資料には封かんや目隠しを施しておきましょう。不要になった個人情報は、シュレッダーや専用の消去ソフトを使い、復元できない形にして処分するのが基本となります。

技術的対策でアクセスと通信を守る

技術的対策は、データへのアクセスと通信経路を制御し、不正な閲覧や改ざんを防ぐためのしくみづくりです。個人情報保護委員会のガイドラインでは、技術的安全管理措置として、アクセス制御、アクセス者の識別と認証、外部からの不正アクセスの防止、情報システムの使用にともなう漏えいの防止が挙げられています(※2)。

具体的には、担当者ごとに必要最小限の権限を割り当てるアクセス制御、通信を暗号化するSSL/TLSの導入、ウイルス対策ソフトの運用といった基本が欠かせません。ただし、必須と推奨は分けて考える必要があります。アクセス制御のように規格や法が明確に求める事項は外せませんが、特定の製品やサービスをどれにするかは、自社のリスクに応じて選ぶ推奨レベルの判断になります。

Webサイトとアプリの脆弱性に備える

Webサイトから個人情報を集める企業では、サイトとアプリの脆弱性対策が、審査でも問われやすい論点になります。脆弱性とは、攻撃に悪用されてしまうおそれのある、プログラムの弱点のことです。Pマークの審査基準である構築・運用指針(JIS Q 15001:2023準拠)は、個人情報保護リスクに応じて必要かつ適切な安全管理措置を講じることを求めています。利用中のシステムの脆弱性への対処も、この安全管理措置の一環にあたり、脆弱性情報をすばやく把握してリスクへ対処することが期待されます。ただし、その具体的な内容は一律に定められた必須事項ではなく、自社のリスクに応じて判断する部分が大きい措置といえるでしょう(※3)。

現実的な手立ては、Webアプリケーションの脆弱性診断を実施し、問題が見つかったら改修していくことです。改修にすぐ着手できない場合や時間が限られている場合には、WAF(Webアプリケーションファイアウォール、サイトの脆弱性を突く通信を遮断するしくみ)を導入し、当面のリスクを抑えるという選択肢もあります。自社が個人情報をWeb経由で扱っているかどうかを出発点に、必要な範囲を見極めていきましょう。
脆弱性診断のやり方については、以下の記事で詳しくお伝えしていますので、参考にしてください。

詳細はこちら

こうした脆弱性診断を自社だけで進めるのが難しい場合は、専門のサービスを利用する方法もあります。たとえばユービーセキュアでは、Webアプリケーションやスマートフォンアプリの脆弱性診断を手がけており、どこにどんなリスクがあるのかを把握する手がかりになります。何から着手すべきか迷う場合は、無料相談を利用して、自社の状況整理を行ってみるのもひとつの手です。

組織と人のルールで運用を回す

最後の柱は、対策を回し続けるための、組織と人のルールづくりです。技術や設備をそろえても、実際に運用するのは人であり、ルールが形だけになってしまうと効果は続きません。Pマークでは、個人情報保護方針や管理規程の整備、全従業者への定期的な教育、委託先の管理が求められます。

これらは、PDCA(計画・実行・点検・改善のサイクル)の起点になります。たとえば年に一度の教育と内部監査を回し、見つかった不備を改善へとつなげる流れを定着させることが、認証の維持と実効性の両立につながっていきます。委託先に対しても、契約や定期的な確認を通じて、自社と同じ水準の保護を求めていく姿勢が大切です。

ここまでの対策が、どのメリットを支えているのかを対応づけると、次のようになります。

対策の種類 主な具体例 直接つながるメリット
物理的対策 入退室管理、施錠保管、暗号化した持ち出し、復元不能な廃棄 漏えいリスクの低下
技術的対策 アクセス制御、通信の暗号化、ウイルス対策 漏えいリスクの低下、顧客の信頼
Webとアプリの対策 脆弱性診断、WAFの導入 漏えいリスクの低下、取引条件の充足
組織と人のルール 規程整備、定期教育、委託先管理 社内体制の強化、法対応の前進
※1 参考:個人情報保護委員会│「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)10-5 物理的安全管理措置」
※2 参考:個人情報保護委員会│「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)10-6 技術的安全管理措置」
※3 参考:JIPDEC│「プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針【JIS Q 15001:2023準拠 ver1.0】」

PマークとISMSの違いと選び方

取得を検討していくと、よく似た認証であるISMSとの違いに迷う場面が出てきます。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは、国際規格ISO/IEC 27001に基づいて、情報資産全般の機密性・完全性・可用性を守るしくみを認証する制度のことです(※)。両者は目的も対象も異なりますので、自社の事情に合わせて選び分けていくことになります。

比較項目 Pマーク ISMS
準拠する規格 JIS Q 15001(国内規格) ISO/IEC 27001(国際規格)
保護の対象 個人情報 個人情報を含む情報資産全般
認証の範囲 事業者全体(法人単位) 部門や事業単位でも取得可能
更新の周期 2年ごと 3年ごと(毎年の維持審査あり)

選び方の軸は、それほど複雑ではありません。守りたい対象が主に個人情報で、国内取引が中心であればPマークが向いています。一方、個人情報に限らず社内の情報資産全体を守りたい場合や、海外取引で国際規格の認証を示したい場合には、ISMSが適しています。

なお、ISMSは認証範囲を部門や事業単位で定められるため、重要な情報を扱う部署から着手し、段階的に対象を広げるという進め方も可能です。両方を取得する企業もありますが、まずは自社が直面している要求がどちらなのかを見極めると、判断しやすくなるでしょう。

参考:情報マネジメントシステム認定センター│ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは

Pマーク取得にかかる費用と期間と審査の流れ

判断にあたっては、現実のコストとスケジュールを把握しておくことが欠かせません。費用はJIPDECが公表する公式料金が基準となり、期間は体制づくりから審査までを含めて見積もる必要があります。

Pマーク取得の費用目安

Pマークの費用は、JIPDECへ支払う申請料・審査料・付与登録料と、外部のコンサルティングを使う場合のコンサル費用に分かれます。前者は、事業者規模ごとに金額が定められています。JIPDECは2026年10月1日に料金を改定する予定で、同日以降に申請する場合の合計は、おおむね次のとおりです(※)。

事業者規模 新規取得時の合計(税込) 更新時の合計(税込)
小規模 336,600円 244,200円
中規模 690,800円 518,100円
大規模 1,382,700円 1,037,300円

※単位:円(消費税10%込)

この新料金は、申請日が2026年10月1日以降の申請に適用されます。2026年9月30日までに申請した分には従来の料金が使われ、たとえば新規の小規模であれば314,288円でした。改定の幅は、全体で約10%、小規模では約6.53%の引き上げです。これから体制づくりに着手して申請する場合は、申請が改定日以降に入る可能性が高いので、新料金を基準に見積もっておくと差が出にくくなります(※)。

また、これらの料金とは別に、現地審査にともなう審査員の交通費・宿泊費などが実費で請求されます。遠方の事業者ほどこの分の上乗せが生じやすいので、あらかじめ見込んでおきましょう。

コンサルティングを依頼する場合には、これとは別に費用が発生します。相場は依頼する範囲や事業者規模によって幅がありますので、複数社から見積もりを取り、比較してみることをおすすめします。

参考:JIPDEC│「料金改定のお知らせ(2026年10月より)」. プライバシーマーク制度

Pマーク取得期間と審査の進み方

取得までの期間は、早ければ半年、状況によっては1年ほどを見込んでおくと安心です。まず個人情報保護のしくみを構築し、一定の期間運用して記録を残しておくことが前提になります。この運用実績がないと、審査で確認すべき材料がそろわないためです。

審査は、提出書類を確認する文書審査と、現場での運用を確かめる現地審査の、二段階で進みます。現地審査にかかる標準的な時間は5〜8時間が目安とされており、改善が必要な指摘があれば、是正してから付与適格の決定へと進みます(※)。社内の体制づくりに要する時間も含めて逆算し、余裕を持った計画を立てていきましょう。

参考:JIPDEC│「費用(審査料の説明)」. プライバシーマーク制度

まとめ

Pマークを取得すると、顧客や取引先からの信頼、入札や取引条件への対応、漏えいリスクの軽減、社内体制の強化、個人情報保護法への対応といった効果が期待できます。これらは感覚的なものではなく、JIPDECの調査結果でも確かめられています。そして、こうした効果はいずれも、物理・技術・組織にわたるセキュリティ対策を整え、地道に運用してこそ得られるものです。

まずは、自社の現状を見直すところから始めてみましょう。施錠保管やアクセス制御、Webの脆弱性対策、教育や委託先管理がいまどこまでできているか整理すると、足りない部分が見えてきます。判断に迷う領域や、専門的な確認が必要な部分があれば、脆弱性診断サービスのような外部の力を借りるのも有効です。