みんなのセキュリティ

Vol.8 プラットフォーム診断とは? 実施しないとどんなリスクがありますか?

作成者: 佐々木 新|May 12, 2024 3:00:00 PM

プロフィール

ミアミン

ホワイトハッカーを夢みて、セキュリティアカデミーでお勉強中のミーアキャット。心配性でやさしい性格で、「みんな無事ミア?」「危険はないミア?」が口癖。ちょっとしたことですぐに「キャッ!」と動揺しがち。

佐々木 新

2020年に入社後、ペネトレーションテストや脆弱性診断などを担当。趣味は絵本集めと散歩。心穏やかに平和な日々を過ごすこと、友人と将棋を指したり、釣りをしたりして、のんびり老後を過ごすことを夢見ています。

プラットフォーム診断とは?

ミアミン

佐々木さんこんにちは!今日のテーマは「プラットフォーム診断」ですね。初めて聞くけど、たぶん電車の駅のホームを診断するわけじゃないことだけはわかるミア。

佐々木さん

そうですね(笑)。プラットフォーム診断とは、システムを構成するネットワーク機器やサーバーなどに対して、ネットワーク経由での侵害を受ける可能性のある設定不備や、CVEが採番されているような既知の脆弱性が存在するか確認することを主な目的とした脆弱性診断です。

ミアミン

キャッ!また初めて聞く言葉が出てきたミア……「CVE」ってなんですか?

佐々木さん

CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)は、日本語だと「共通脆弱性識別子」といいます。脆弱性にはさまざまな種類がありますから、どの脆弱性のことかすぐわかるように、一般公開されている脆弱性に番号(識別子)を付けてリスト化しているんです。CVEが採番されていることで、みんなで「CVE-0000-XXXXの脆弱性にはどんな対策をすればいいか?」というふうに知恵を寄せ合うことができるんですよ。

プラットフォーム診断未実施の場合のリスク

ミアミン

プラットフォーム診断を実施していないと、ネットワーク経由でサイバー攻撃を受けるリスクが上がるミア?

佐々木さん

そうですね。例えば以下のリスクが考えられます。

 

  • システムを構成するネットワーク機器やサーバーに存在する既知の脆弱性を悪用され、システムへの侵入、重要情報の漏えい、改ざんなどの被害を受けるリスク
  • OS/ミドルウェアの設定不備を悪用され、外部の第三者へのDoS攻撃の踏み台に利用されるリスク
  • データを暗号化され、身代金を要求されるリスク
  • ホームページやコーポレートサイトを改ざんされることで発生する、企業のレピュテーションリスク
ミアミン

キャッ!情報漏えい、踏み台、身代金……どれもこれもめちゃめちゃ怖い!こうなると、社内のネットワーク機器やサーバーはすべてプラットフォーム診断を受けた方がいいミア?

佐々木さん

情報資産の構成と所有数や、使用しているソリューションの種別により、実際の診断の優先順位は変わります。ただ、一般的に優先度の高い診断対象としてはDMZ上に存在するサーバー群やVPS、インターネットゲートウェイなど、外部の第三者から直接アクセスできる可能性が高いネットワーク機器/サーバーなどが挙げられます。

プラットフォーム診断を実施する主要なタイミング

ミアミン

ふぅ~、怖すぎて毎日でもプラットフォーム診断を実施したいくらい……。実際のところ、どんなタイミングで診断を実施すればいいミア?

佐々木さん

大まかには次の3つのタイミングがあります。

 

  • 新規システムの構築時/本番稼働前
    インターネット上には自動化された攻撃(bot)による通信が大量に流れており、知名度の高い設定不備やデフォルトパスワードなどが原因で、サーバーを公開した直後にセキュリティ侵害を受けてしまう可能性も考えられます。このようなリスクを軽減するためにも、新規に構築したシステムは、外部公開前にプラットフォーム診断を実施することが望ましいです。

  • ネットワーク構成の大幅変更時
    ネットワーク構成の変更時に、今まで潜在的に存在していた脆弱性や設定不備がインターネット上にさらされてしまう可能性も考えられるため、こうしたタイミングに脆弱性診断を行うことでリスク低減を図ることもできます。

  • 定期的な確認
    攻撃手法の進化や新たな脆弱性の発見など、情報セキュリティを取り巻く情勢は日々目まぐるしく変化しています。システムのリリース時や大幅な改修時以外にも、定期的に脆弱性診断を行うことで、セキュリティ対策の見直しを行うことが重要です。
ミアミン

なるほど!プラットフォーム診断も、一般的な脆弱性診断のタイミングと同じように考えればよさそうミア。

佐々木さん

「新規システムの構築時/本番稼働前」や「定期的な確認」は共通していますね。そして、一般的な脆弱性診断は「重大なシステムアップデート時」などが実施すべきタイミングとされていますが、ネットワーク機器やサーバーにとってはそれが「ネットワーク構成の大幅な変更時」にあたると考えることもできます。

ミアミン

システムやネットワークにとって大事なときこそ、脆弱性診断が必要なんですね。そして定期的なチェックも忘れずに続けていかなきゃミア!

佐々木さん

そうですね。プラットフォーム診断を行っていないと、機密情報漏えいや改ざん、サーバーへの侵入など、多岐にわたるリスクが潜んだままシステムを運用することになってしまいます。この記事を参考に、適切なタイミングで脆弱性診断を検討してもらえれば、OS/ミドルウェアの脆弱性や設定不備に起因するインシデント発生のリスクを大幅に低減できるはずですよ。

ミアミン

いつが適切なタイミングか、さっそく検討してみるミア!今日はいろいろ教えてくれてありがとミア!

佐々木さん

脆弱性診断を行うためには、予算や診断の目的に応じ、優先度付けや診断対象の選定を行う必要があります。セキュリティコンサルタントに相談して、アドバイスをもらうのもおすすめですよ!

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