プロフィール

ミアミン
ホワイトハッカーを夢みて、セキュリティアカデミーでお勉強中のミーアキャット。心配性でやさしい性格で、「みんな無事ミア?」「危険はないミア?」が口癖。ちょっとしたことですぐに「キャッ!」と動揺しがち。

石塚 萌
2020年に新卒入社し、現在に至るまで脆弱性診断やペネトレーションテストを主に担当。技術分野以外にも営業、コンサルティングなど幅広い業務に従事。ユービーセキュアの部活動では「日本伝統文化部」に所属し、日本文化を学びながら楽しい日々を過ごしている。
便利なクラウド環境に潜む、意外なリスク要因

石塚さんこんにちは!今日のテーマは「クラウド化に伴うセキュリティリスクの失敗事例」。なんだか、他人事ではない匂いがぷんぷんするミア。

石塚さん
クラウド環境は昨今のビジネスにおいて欠かせない技術ですから、みなさん利用されていますね。しかし、その便利さと効率性の背後には、設定ミスによって引き起こされるリスクが潜んでいるんです。

キャッ!「設定ミス」なんて、聞くだけでゾッとするミア!

石塚さん
どうやら、心当たりがありそうですね(笑)。今回は、クラウド設定のミスがどのように企業に深刻な影響を及ぼすか事例を交えて紹介し、クラウド設定評価サービスがなぜ必須であるかについて解説していきます。
恐怖の事例 ~重大なクラウド設定ミスの結果~

石塚さん
事例1: 大惨事!顧客情報が丸裸になったクラウドの落とし穴
クラウドストレージの設定ミスで、数千人の顧客情報がインターネット上に公開されました。公開された情報には、名前、住所、電話番号などが含まれています。
この問題は、クラウドストレージのアクセス設定を間違えて「パブリック」にしてしまったことが原因です。通常、こうした重要な情報は「プライベート」に設定し、限られたユーザーだけがアクセスできるようにするべきです。この設定ミスで、顧客データは悪意のある攻撃者だけでなく、一般のインターネットユーザーにも見られてしまいました。
このデータ漏えいによって、企業は信頼を失い、法的な問題や顧客からの賠償請求、さらにはブランドイメージの損傷といった大きな損害を受けることになりました。

設定一つで「顧客情報が丸見え」なんて恐ろし過ぎるミア……!

石塚さん
事例2: ちょっとした権限設定ミス!機密データが競合他社に渡る瞬間
クラウドデータベースの設定ミスで、企業の重要な商業秘密が競合他社に漏えいしました。漏えいした情報には、機密性の高い製品設計図、未公開の財務報告書、内部戦略文書などが含まれています。
この問題は、特定の重要なデータベースへのアクセス権が間違って多くのユーザーに与えられてしまったことが原因です。通常、重要なデータベースへのアクセスは最小限のユーザーに制限するべきです。この設定ミスにより、情報が外部に流出し、企業は数億円規模のビジネスチャンスを失い、市場での競争優位性を大きく損ないました。さらに、この情報漏えいは企業の株価にも影響を与え、株主からの信頼も大きく失う結果となりました。

実は「いちいちアクセス権のリクエストをしたり、リクエストされて対応したりするの面倒だな」と思ってたミア。悔い改めます……!

石塚さん
事例3: サービスが完全ダウン!クラウドのスケーリング失敗が招いた大惨事
クラウドサーバーへの不適切な負荷考慮設定が原因で、大規模なオンラインサービスが数時間にわたって停止しました。突然のトラフィックの急増にサーバーが対応できず、サービスが完全にダウンし、顧客満足度の低下、売上の損失、そして市場での信頼度の低下を招くこととなりました。
この問題は、ロードバランサーと自動スケーリング設定の不備が原因です。通常、トラフィックの増加に伴い自動的にリソースが割り当てられ、サービスが安定して提供される必要がありますが、誤設定により、スケーリングに失敗し、結果的にサービスが停止してしまいました。
サービス停止により、数百万ユーザーがサービスを利用できなくなり、企業は顧客の信頼を大きく損ねました。また、復旧作業には時間がかかり、その間に企業は顧客からの苦情、メディアからの批判、そして競合他社に対する優位性の失墜といった多方面からの圧力を受けることとなりました。

ようやく復旧してもユーザーは他社に乗り換えてしまって激減かも……想像するのも怖いミア!
ミスの根本原因とその影響

いや~。これほどのリスクがあるというのに、なぜ設定ミスが起きてしまうミア?

石塚さん
そうですね……クラウド技術は多くの新たな利点をもたらす一方で、新たなリスクも連れてくるからでしょうか。特にクラウド設定のミスは、企業にとって予想もしない大きなトラブルを引き起こす原因となることがあります。では次に、クラウド設定ミスが発生する主な原因を分析し、その深刻な影響にはどんなものがあるのか確認してみましょう。
設定の複雑さとその誤解
クラウド環境の設定は非常に複雑で、正確な設定を行うには専門的な知識が必要です。多くのクラウドサービスでは、セキュリティポリシー、アクセス権限、ネットワーク設定、リソース管理など、多岐にわたる設定項目を適切に管理する必要があります。しかし、これらの設定が直感的でないことが多く、設定ガイドが十分でない場合もあります。その結果、設定作業を行う担当者が重要なポイントを見落とし、意図しない設定ミスを犯すことがあります。
例えば、クラウドストレージのアクセスポリシーを「パブリック」に設定するだけで、機密情報がインターネット上に露出する危険があります。このような些細な設定の誤りが、データ漏えいやサービスの不正利用という大きなセキュリティインシデントを引き起こすことがあります。

そもそもクラウド環境の設定はとても難しいものなのミア!

石塚さん
適切な教育の欠如と人的エラー
クラウド設定の正確さを確保するためには、運用する担当者への適切な教育が不可欠です。しかし、技術の進化に対して教育が追い付かない場合や、不十分な場合、担当者は重要なセキュリティ概念や設定手順を正しく理解できていないことがあります。また、新しいクラウドサービスや機能が継続的に追加されるため、最新のベストプラクティスが常に変わっています。
教育不足は、担当者が設定作業中に不適切な判断を下すリスクを高めます。例えば、不要なサービスへのアクセス権を制限せずに放置することで、未認証のユーザーが機密情報にアクセスできる状況を作り出すことがあります。このミスは、外部からの攻撃者だけでなく、内部の誤操作によるデータ漏えいの原因ともなり得ます。

「何が危険かわかっていない」のが、一番危険!でも情報がどんどん新しくなっていくと、教育が大変なのもわかるミア。

石塚さん
監視システムの不備とその影響
監視システムの不備は、クラウド環境における不適切な設定、異常なアクセスパターンや不審なデータの動きを見逃す原因となり、結果としてセキュリティ侵害が発生してもそれを早期に検知できないことがあります。
例えば、クラウド上のデータベースへの不正アクセスが行われた場合、適切な監視ツールがあれば異常なアクセスを即座に識別し、アラートを発することができます。しかし、監視システムが不完全であれば、このような不正アクセスが長時間にわたって続く可能性があり、大量のデータが盗まれるリスクが高まります。

いつから不正アクセスを受けたのか把握できてないとなると、影響の範囲なども見当がつけられないミア……。

石塚さん
これらの問題は単独で発生することもあれば、互いに影響を与え合ってリスクを増大させることもあります。企業がクラウド技術を安全に活用するためには、これらの根本原因を理解し、適切な対策を講じることが必要です。
設定の見直し、運用担当者の継続的な教育、そして強固な監視体制の構築が、クラウド環境を安全に保つための鍵となるでしょう。
未然に防ぐ ~正しい対策とクラウド設定評価サービスの重要性~

具体的には、どんな対策に取り組めばいいミア?

石塚さん
おすすめの対策は大きく3つあります。一つずつ見ていきましょう。
ベストプラクティスの適用
クラウドサービス提供者が推奨するセキュリティベストプラクティスを適用することが、ミスを防ぐ第一歩です。これには、アクセス権の最小限化、データ暗号化、定期的なパッチ適用などが含まれます。
定期的なセキュリティチェック
定期的なセキュリティチェックを実施し、設定ミスがないか確認することが重要です。クラウド環境には脆弱性検査やコンプライアンス検査を行い、管理することのできるセキュリティツールがあります。また、診断ベンダーではクラウド設定評価サービスを提供しており、設定ミスの洗い出しに加え、専門家のアドバイスや独自の評価が行われることや、報告書は経営層に報告できる形で提供されるなど、セキュリティツールでは得られないメリットがあります。クラウド環境に用意されているセキュリティツールと、診断ベンダーのクラウド設定評価サービスを定期的に利用することで潜在的なリスクを早期に発見し、対処することができます。
適切な教育の実施
クラウド環境に対する正しい知識を担当者が持つためには適切な教育が必要です。クラウドサービスベンダーが開催している技術トレーニングやセミナーを受講することや、社内で学べるトレーニングプランを用意することによって、正しく最新の知識を得ることが可能となります。また、クラウドサービスベンダーが提供している資格の受験を通して学ぶことも一つの手です。教育にはさまざまな手段がありますが、クラウド環境の知識を得るための体制を組織として設けることは、自社の体制強化やさまざまなリスクから自社を守ることにつながります。

ベストプラクティスの適用、クラウド環境と診断ベンダーのダブルでの定期的チェック、正しく最新の知識を得ること。どれも「地道に続けること」が重要そうミア。今日はいろいろ教えてくれてありがとミア!

石塚さん
クラウド環境は便利で効率的、これからますます欠かせないものになっていくでしょう。それだけに、リスクも正しく理解し適切に対応しなければなりません。クラウド設定評価サービスを活用することで、これらのリスクを管理し、クラウド環境の安全性を高められますし、クラウド環境のメリットをより安心して享受できるようになりますよ。ビジネスのリスク回避のためにも診断サービスなどを活用し、クラウド環境の安全性を確保していきましょう。